こんにちは!まいたけです。
誤食の回でもご紹介しましたが、猫ちゃんのユリ中毒についてです。
わんちゃんの玉ねぎ中毒やチョコレート中毒などは有名だと思いますが、猫ちゃんはどうでしょう。
春のこの時期、お別れ会、歓迎会、入学祝いなどお花をもらう機会が増えますよね!
見栄えがよくてよくつかわれるお花の中にユリがあります。
きれいなお花をかざって…というのは猫ちゃんのいるご家庭ではとても危険なんです!
猫ちゃんにとってユリは少し葉っぱをかじっただけでも命にかかわります。
なんと、花瓶の水をのんでも中毒をおこしてしまうのです。
ユリ科の植物の摂取により引き起こされるこの中毒は猫ちゃんの腎臓(腎尿細管)に重大な影響をおよぼします。
このことにより「急性腎不全」となり亡くなってしまうケースが少なくありません。
急性腎不全は、名前の通り数時間、数日で急に腎臓が機能しなくなってしまう状態です。食欲不振や嘔吐、ぐったりして元気がない、たてない、意識が朦朧としている、体がつめたい、おしっこが少ない~でていないというのが主な症状です。
このユリ中毒という病気の厄介なところは治療に反応しにくいということです。
食べたとわかっていた場合、直後であれば催吐処置を行い吐き戻してもらうか、麻酔をかけて胃洗浄を行う必要があります。
体に吸収されてしまった場合は、根気よく点滴治療を行っていきますが、反応に乏しく摂取から1週間程度で亡くなってしまうことが多いのです。
もちろん点滴治療により一命をとりとめることもありますが、それほどユリ中毒とはこわい病気なのです。
この中毒は飼い主さんの意識でかなり予防が期待できます。
実際に猫ちゃんのユリ中毒は認知度が低く、このこともいまだユリ中毒で亡くなる猫ちゃんが多いことの一因だと思われます。
まず猫ちゃんを室内飼育してあげること、さらに室内では観葉植物や生花を置くことをひかえ、造花等にするといったことで予防ができます。
ぜひ実践してみてください。
当院でも、原因はわからないけれど急に調子をくずしたという若い猫ちゃんの来院があり、検査をすると腎臓の数値が測りきれないほど高くなっており、膀胱におしっこがほとんどなく乏尿状態といったことがあります。いつも外にでていて何をたべたか、おしっこがでているかわからないという場合もかなり多く、こういったケースはやはり外を出入りする猫ちゃんのリスクだといえると思います。
猫ちゃんのおしっこの有無ひとつをとっても、病気の診断にはとても重要な情報です。
屋内飼育となり、このような中毒や感染症から守られる猫ちゃんが増えることを願っています!