混合ワクチンは接種が推奨されているコアワクチンと、飼育環境に合わせて接種するノンコアワクチンの組み合わせによって種類が異なります。5種、6種、8種、9種、10種などがありますが、当院では5種、7種混合ワクチンを接種しています。このワクチンは、動物の命にかかわる怖い病気であったり、人にも感染しうるといった理由からペットに接種を推奨しているものです。
犬ジステンパー | 鼻水、高熱、神経症状など。死亡率が高い。 |
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犬コロナウイルス感染症 | 嘔吐、重度の水溶性下痢。子犬では特に注意。 |
犬伝染性肝炎 | 幼犬の突然死。発熱、嘔吐、下痢、肝炎など。 |
犬アデノウイルス2型感染症 | 発熱、咳、鼻水、肺炎など。混合感染により重症化。 |
犬パルボウイルス感染症 | 激しい嘔吐下痢、突然の衰弱。死亡率が高い。 |
犬パラインフルエンザ感染症 | 伝染性が強い。咳、鼻水、発熱など。混合感染で重症化。 |
犬レプトスピラ感染症(2種類) (カニコーラ・イクテロヘモラジー) |
発熱、黄疸、血尿、肝臓・腎臓疾患など。 千葉県でも発生しています。人にも感染します。 |
- レプトスピラのみのワクチンも取り扱っております。レプトスピラが入っていないワクチンを打っている場合は、レプトスピラのみのワクチンを打つこともできます。免疫獲得には時間がかかりますので、キャンプ等のおでかけの2週間前までには接種しましょう。
ねこちゃんのワクチンもわんちゃんと同様、入っている種類により、3種、4種、5種、7種のワクチンがあります。当院では3種と5種を接種しています。室内飼育の場合でも、伝染力が強く空気感染や接触感染により伝播する3疾病に関してワクチン接種を推奨しています。お外にパトロールにいく子に関しては、猫白血病ウイルスを含めた5種混合ワクチンを推奨しています。打つワクチンの種類は、問診時にご家族のみなさまに状況をおききしながら判断致します。お気軽にご相談ください。
疾病 症状など 3種 5種 猫カリシウイルス感染症(FC-7) 風邪様の症状。肺炎や口腔内に潰瘍をつくることも。 ○ ○ 猫汎白血球減少症 風邪様の症状。肺炎や口腔内に潰瘍をつくることも。 ○ ○ 猫ウイルス性鼻気管炎 発熱、下痢、食欲不振など風邪様の症状。 ○ ○ 猫白血病ウイルス感染症 発熱、貧血など。症状がでないことも。 × ○ 猫クラミジア感染症 発熱、咳、鼻水、肺炎など。混合感染により重症化。 × ○
子犬はお母さんからもらった移行抗体によりワクチンの作用が弱くなります。そのため当院では、移行抗体が減少する2ヶ月齢以降に1回目のワクチン接種を行います。初めて暴露された抗原に対しては、1回の接種でしっかり免疫ができないことが多いため、1ヶ月の間をあけて、3ヶ月齢以降で2回目ワクチンを接種します。その後は毎年1回の接種を推奨しています。
海外ではワクチンは3年に1回の接種でよいとされてきていますが、日本で多く使用しているワクチンとは種類が異なります。さらに個人差がありますが、ワクチンを打っても1年もたたずに抗体価が下がることもあります。最もよい方法は、ワクチン接種前に抗体価を調べ、その値に応じてワクチンプロトコルをくむことです。しかし、検査自体も高額なため、なかなか難しいのが現状です。(当院でもご希望があれば、抗体価検査を行うことは可能です。)そのため、当院では毎年1回のワクチン接種を推奨しています。
ワクチン接種により予防できる感染症にかかっていると診断または疑われる子を各都道府県の半数ほどの病院が経験しているとのデータがあります。(2013~2015年、全国600件 伴侶動物ワクチン懇親会調べ)日本は欧米と比較してもワクチン接種率はいまだに低いままです。多くのペット保険も、ワクチンで予防できる疾病の場合は、保険適応外となってしまいます。予防可能な病気は、やむをえない理由をのぞき予防をしてあげましょう。
日本においてもワクチン接種回数を減らすのに十分な臨床、研究データが集まった際には、当院も対応致します。
- 1
- 身体検査:
- 問診、触診、視診、聴診、糞便検査(直接鏡検)を行い、異常がないかチェックします。
- 2
- ワクチン接種:
- 問題がなければワクチンを接種します。以前に具合が悪くなった子は相談をしながら、アレルギーをおさえる前処置を行い(約15分待ち時間)、接種します。重篤な副反応でたことがある場合や老衰、慢性消耗性疾患(末期がん、重度心臓病など)の子は、ご相談の上ワクチン接種を見送ることがあります。
- 3 接種後15分は当院の待合室や駐車場、お車の中でお待ちいただきます。この待ち時間はワクチンへの急性の副反応がでないように みていただく時間になります。もし、呼吸があらくなったり、ぐったりするなどの異常がでた場合は速やかに申し出てください。アレルギ ー反応をおさえる注射を行い、状態によっては酸素吸入や点滴を行っていきます。
人間のインフルエンザ予防注射のときと同じように、動物の予防注射も個人差はあるものの少なからず体に負担をかけます。そのため、事前のおうちでの様子(おうちでリラックスしているとき)が少しでもいつもと違うようであれば、ワクチン接種は控え、延期しましょう。いつもよく観察されていることと思いますが、ワクチン接種のときには元気食欲など注意して見守ってあげましょう。また接種後は、動物もなれない病院のストレスなどにより疲れていますので、ゆっくり休ませてあげてください。
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- 元気食欲はいつも通りか
- 過剰に興奮していないか(遊び、運動など)
- 体は熱くないか
- おしっこやうんちに変わりはないか
- お腹がはっていたり、呼吸がはやくないか
- 咳やくしゃみがでていないか
- アレルギー体質ではないか(問診時にお申し出ください)
- 妊娠はしていないか
- 寄生虫がいる可能性はないか
- 様子をみる時間を確保するために、なるべく午前中に接種を予定する
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- 様子をよくみる
- おうちで安静にする
- 激しい運動をひかえる
- シャンプーやブラッシングはひかえる
- 他の犬との接触をひかえる
- おでかけをひかえる
- ワクチンの副反応
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まれに体質によりワクチン接種後に副反応があらわれる子がいます。
以下は、ワクチンの副反応を疑う症状です。接種後、数分~数時間であらわれる可能性があります。
このような症状がみられた場合は、速やかにご連絡ください。- 嘔吐・下痢
- 発熱
- 元気食欲減退
- ぐったりする、虚脱
- 注射部位の痛み
- 全身の赤み、かゆみ
- 顔のむくみ
- 呼吸があらい
多くの場合は一時的で、数時間~数日でおさまります。なれない病院での過度な緊張、ストレスによっても嘔吐や下痢、元気食欲低下がみられることがあります。
虚脱や意識レベルの低下など、重篤な場合は緊急を要しますのですぐにご連絡ください。
ワクチンは体に少なからず負担をかけますので、同時接種は行っていません。
狂犬病ワクチンは「不活化ワクチン」、混合ワクチンは「弱毒生ワクチン」という種類のワクチンになります。それぞれ体への影響が異なります。
次のワクチン注射まで、狂犬病ワクチンの場合は1週間、混合ワクチンの場合は3~4週間あける必要があります。そのため、狂犬病ワクチンを打ってから、1週間後に混合ワクチンを打つと短期間にワクチンプロトコルが終わることになります。
- ねこちゃんには狂犬病ワクチンの接種義務はありませんが、渡航先によっては必要になることがあります。