腫瘍科では、体表から体内のあらゆる場所に出来る「しこり」の診断、治療を行います。一括りに「腫瘍」とは言っても良性なのか悪性なのか、悪性の中でも比較的良いものなのか、悪いものなのか、腫瘍の種類や進行度(臨床ステージ)によって治療方針は変わってきます。そのため、腫瘍科ではまずは腫瘍の診断を行うところから始まります。当院では、診断を付けた上での治療を行っております。
腫瘍に小さな針を刺して腫瘍細胞の一部を採取します。比較的侵襲性が低く無麻酔で行うことが出来ます。すべての腫瘍で診断がつくわけではありませんが、腫瘍診断の方向性を決める上で重要な検査であるため当院では殆どの腫瘍の症例で実施しております。
- 当院での実施例
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10歳/シーズー/去勢雄/体表腫瘤(乏顆粒性肥満細胞腫)
12歳/MIX犬/未去勢雄/肛門右側腫瘤(肛門周囲腺腫瘍)
12歳/チワワ/去勢雄/下顎リンパ節(高分化型リンパ腫)
15歳/MIX猫/未去勢雄/消化管腫瘤(低分化型リンパ腫)
腫瘍組織の一部あるいは全部を切除し、病理組織学的評価を行います。外部検査機関に依頼するため、一週間ほど結果に時間を要します。その腫瘍の確定診断を得ることが出来るため当院では必ず実施するようにしております。確定診断の結果に基づきその後の治療方針を決定します。
- 当院での症例
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13歳/ボーダーコリー/未去勢雄/左臀部腫瘤(血管肉腫)
15歳/MIX猫/去勢雄/回盲部腫瘤(リンパ腫)
8歳/MIX猫/去勢雄/耳介部腫瘤(肥満細胞腫)
体表、体内の腫瘍診断に有益な検査です。体表の腫瘍であれば、その腫瘍がどこまで浸潤しているのか、血流はどうか等を調べることが出来ます。また、体内の腫瘍であれば、その腫瘍が肝臓、脾臓、腸管等のどの臓器から発生しているのかがわかります。
16歳/Mダックス/避妊雌/肝臓腫瘍
18歳/MIX猫/未去勢雄/腸管腫瘍
体表、体内の腫瘍診断に有益な検査です。超音波検査ほど細かな部分はわかりませんが、腹部の腫瘍や肺転移の有無を確認する上で重要な検査になります。
腫瘍の症例では、全身状態が悪くなっている患者様も多く全身状態の評価を行うために実施します。また、腫瘍の種類によっては、血液検査に特徴が表れる腫瘍もあるため重要な検査になります。